●ある百合好きの迷走する日々の記録 第3913回目
■さて、「百合に向いた物語の構造」の第五回
多分、あともう一回は続きます。
前回、「前提条件は百合」をおろそかにしたジャンルにおいて、ストレートな百合作品は普及していない、と暴論を吐きました。
今回は、実際の所かなり切ない状況になっている、商業小説での百合作品を元に話を進めてみたいと思います。
古く「
花物語」まで遡ると、話がややこしくなりそうなので、ここ10年くらいの作品について。
キーワードは「マリみて以外の百合小説」です。
百合の定義になってしまうと、話の本筋からそれてしまうので、マリみては百合かどうかについてはあえて横に置いておきますが、少なくとも商業的な成功や展開方法として「マリみて」の形式が、その後しばらくの百合作品に及ぼした影響は大きかったと思います。
ただ、その上手さ故に、その後の商業百合小説の方向は混迷します。
実は「マリみて」は、今までの4回までの話にあげてきたポイントのほとんどを網羅しています。
(1)複数のペアが入り乱れるタイプの構造 …… 赤白黄色の姉妹だけでなく、脇役スールに至るまで
(2)複数の女の子が登場し …… 女の子だらけ。やっほー
(3)それなりに使い捨て不幸キャラが出ず …… 桂さん(´;ω;`)
(4)世界が善意で出来ている(と一時でも思わせてくれる) …… 柏木さんの扱い
(5)カップリングだけで世界が閉じてない …… 妄想を刺激する多様な関係性
(6)連作短編(もある。後半は特に多い) …… ここ最近の雑誌掲載を載せた新刊はまだかー。
(7)恋愛の絡まないカップリング …… 歴代三薔薇、どの代も横の繋がりが魅せる
後付な分析とも思えますが、非常に「百合要素を入れる」のに適していたのです。
結果、百合好きにも、百合を知らなかった層にも、女の子同士の関係性を描いた作品が面白いと大きく響く作品になり、長期展開、アニメ化と進んでいきます。
しかし、マリみては、時代的な背景や、発表レーベル(コバルト文庫)など、その理由はいろいろとあるのでしょうが、唯一「前提条件は百合」というポイントだけが含まれていませんでした。
マリみてだけの話ならば、それでも先発の強みがあり良かったのですが、問題はその後発売されていく百合小説の形態に影響を与えすぎたのではと思えることです。
その後発売されていく百合小説(と百合好きに認識される)は、大きく分けて2つに別れます。
A:前提条件は百合で、少ないカップリングの長編
B:主軸となる物語は別で存在し、それを構成する要素に百合がある
マンガでは当たり前になりつつある、前提条件が百合でなおかつ複数のペアが入り乱れるタイプの構造に行かず、きれいに分離します。
この分類では、マリみてはBに当たる作品となります。
実際に発売された作品で、過去に自分が読んだもの+最近Twitterで3巻以上の百合小説って何かありますか?と聞いて教えてもらった作品から、若干乱暴に仕分けしてみます。
(先に言っておきますが、作品の良い悪いという話ではなく、手法としての百合の使い方から見た分類です)
A:前提条件は百合で、閉じたカップリングの長編小説
・
幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ・
バニラ―A sweet partner・
ナハトイェーガー 〜菩提樹荘の闇狩姫〜・
フィリシエラと、わたしと、終わりゆく世界に・
刹那〜そのとき彼女が願ったこと〜・
カラミティナイト オルタナティブ・
ワイルドブーケ 花の咲かないこの世界で・
.(period)・
384,403km―あなたを月にさらったら・
あまがみエメンタール・
みすてぃっく・あいB:主軸となる物語は別で存在し、それを構成する要素に百合がある
・
しずるさんと偏屈な死者たち・
アイドライジング・
ニーナとうさぎと魔法の戦車・
ストライクウィッチーズ―スオムスいらん子中隊がんばる・
彼女は眼鏡HOLIC・
紫色のクオリア・
サンダーガールうーん。
分かってて仕分けてみたのだけど、見事にAの方は、単発完結作品以外、打ち切りだったり、続編出てないな……。
マリみての形式に近いBの方が、どちらかと言うと、続編が出てるものが多い印象。
商業的には百合好き以外にもキャッチできそうな要素を前面に押し出せるBの方が成功しやすいのでしょう。
ただし、Bは主軸が百合とは別で存在しているため、百合好きからは百合小説として認識されても、百合を意識していない人から見たら、「百合要素もある」小説として捉えられてしまいます。
ここで当初の目的を(半月以上前なのですでに忘れかけてますが)思い出してみます。
「百合に向いた物語の構造」とは何か。です。
百合に向いている構造を探す中で、「百合要素もある」という所を到達点と考えていいのか。百合好き以外からも百合と認識されるものでなければ目的に辿り着いていないと思われます。
事実、マンガの方面では、10年前なら「うわーい、百合がある。やっほー」と喜んで数ページしか登場しない百合キャラのための為にマンガを買うこともあったでしょう。と言うか、実際買ってた。
しかし現在は様々なガチ百合な作品が溢れていて、本棚の許容量を考慮して、わざわざ選別して買う所まで来ている。
とすれば、やはり小説・文芸ジャンルにおいてのみ、Bが「百合に向いた物語の構造」として選ばれ続ける……なんてことは無いのでは?
(もちろん、Aの方式は、過去の打ち切り例と、単発物として物語が完結してしまう商業的な限界があるので言わずもがな)
……て事で、長くなってきたので、次回に続く。
最後のポイントは、上記のAでもBでもない、
C:前提条件が百合であり、なおかつ複数のペアが入り乱れるタイプの構造
・
ストロベリー・パニック!・
君が僕をです。
やばいくらいに収集つかなくなってきたけど、多分次で終わる。はず。
■ほんと
ひどいくらいに思考がまとまらない(笑)
一眠りしたら、百合ランキングの続き。
■一行メールにビビった(笑)
内緒話を教えて頂けた事もだけど、このサイトが補足された事のほうも驚きで。
あの方は名前は見えずとも、今も活動されているのですね。一ファンとしても嬉しいです。今後もワクワクしながら読みます。>内緒話なので誰宛かは秘密
★2011年 私的年間ベスト10+α(商業百合作品)
【7位】
スイートプリキュア♪ 【Blu-ray】 Vol.1(TVアニメ/TCBD-0032)
【役割・主/百合度・夫婦愛】
百合度の表記が、もはや適当になっていることには触れないで。
今までのプリキュアの中で、咲と舞、ラブとせつな、が個人的にはイチャイチャカップル認定だったのですが、それまでの妄想百合を軽く吹き飛ばすくらいのことを、平気で公式にやってくれたのがスイプリ。
特に、前半の響と奏の喧嘩芸とでも言うまでに洗練された、ケンカ→仲直りのテンプレは、犬も食わない百合度。
そして中盤のビート加入からは、子供を見守る熟年夫婦化。
さらに終盤、ミューズ加入後からの、ありとあらゆる女の子にフラグを立てまくる響さんイケメン化と、それすらも微笑ましく見守る奏姐さん。
一年間、ツイッターでスイプリスイプリ言い続けてしまうほど楽しませて頂きました。一人でも多くの女児が、響と奏の関係から、百合に目覚めることを!
……あと、2011年に唯一、同人誌をジャンルで買いあさったのもスイプリだったなー。